1月29日(金)、日航ホテル奈良において、第22回犯罪被害者支援全国経験交流集会が開かれ、リアル参加しました(リアル参加約80名、web参加約220名)。
この集会は日弁連等が主催となり、犯罪被害者支援に取り組んでいる全国の弁護士が中心となって毎年開催されているシンポジウムです。
今回のテーマは「全国の地方公共団体に犯罪被害者等支援条例の制定を!~条例制定後の地方公共団体の取組みから、改めて条例制定の必要性を考える~」でした。
条例制定についての報告・パネルディスカッションに先立ち、21年前、18歳の息子さんを交通犯罪によって亡くした児島早苗さんによる基調講演「命を越すものはない」が行われました。
児島さんは、交通犯罪被害者となった経験から「2度と他の誰にもこんな思いをしてほしくない!」と考え、現在、学校をはじめ各地で「命のメッセージ展」実施に力を注ぎし、子どもたちに「命の尊さ・重さ」を伝える活動を続けています(inochi-message.com)。児島さんが講演で語られた「自分、そして自分の家族を守るため。加害者、被害者にならないため。」という言葉が印象に残りました。交通犯罪について、自分のこととして考え、責任ある行動をとらなければならないと痛感しました。
そして、犯罪被害者支援条例の全国状況の報告後、本シンポのテーマに沿ってパネルディスカッションが行われました。
47都道府県中、現在、犯罪被害者支援に特化した条例を制定しているのは21都道府県(大阪府も含む)で、本年4月には25都道府県になるとのことですが、まだ半分を超えたところです。市区町村になると、さらに制定割合は低くなります。
犯罪の被害に遭うと、身体的(生命)、精神的被害を受けるのはもちろん、経済的被害もあります。治療費がかかり、加害者宅が近隣であれば転居を余儀なくされます。カウンセリングを受けたり、法的手続を執らなければならないこともあります。それらには全て費用がかかるため、見舞金、カウンセリング費用助成、遺族子育て支援、転居費用助成、弁護士費用助成などが必要です。また、家族が亡くなることで生活に支障をきたします(生活被害)。残された遺族が生活するため、家事援助、育児援助、配食サービスなどが必要になります。突然、犯罪被害者となった人を速やかに支えるために地方自治体による制度が必要です。
「犯罪被害を防止できなかった社会(行政)にも責任がある」との考えに基づき国内で最も進んだ犯罪被害者支援施策を実施している明石市の報告も受け、全国すべての自治体が犯罪被害者支援条例を制定して、被害者が利用しやすい充実した施策が必要であることを確認できました。